上記のように悩んでいませんか?
特定調停の申し立て件数は平成15年の54万件をピークに、以降は減少傾向にあります。
令和2年では2,400件程度まで減少しており、特定調停の申し立て件数は今後も減っていくことが予想されます。
特定調停を選択する人が少ないのは、成功率が低いためです。
いくら費用が安いとはいえ、成功しなければ意味がありません。
この記事では、特定調停の成功率や低い理由、任意整理との違いについて詳しく解説していきます。
特定調停を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
【特定調停の成功率まとめ】
- 特定調停の成功率は14%
- 特定調停の申し立て件数は毎年減少している
- 特定調停の申し立て件数は年間2,400件程度
- 任意整理の申し立て件数は年間で200万件程度
- 特定調停は成功率が低いため、ほとんどの人が任意整理を選択している
特定調停とは?
特定調停とは、債権者と債務者が話し合って、支払い方法を調整する手続きのことです。
任意整理と非常によく似ていますが、最大の違いは「裁判所の介入があるかどうか」です。
ただし、通常の裁判のように勝ち負けを決めるわけではなく、あくまでも「話し合いをするための手続き」です。
特定調停は簡易裁判所に申し立てを行い、2名の調停委員の元で話し合いを進めていきます。
その後、特定調停に成功すると、原則として3年間の返済計画が立てられます。
つまり、支払い期間の延長が認められるので、「毎月の返済額が下がる」というのが特定調停のメリットです。
また、「将来分の利息カット」「残っている借金を3〜5年で返済」で和解、というのが任意整理の主な和解案で、特定調停ならではのメリットというわけではありません。
そのため、成功率の高い任意整理を選択する人が多く、特定調停を選択する人は減少傾向にあります。
そもそも「特定調停をしたい」と考えている人は「弁護士・司法書士費用が払えない・払いたくない」と考えているケースがほとんどです。
しかし、最近は相談料・着手金が無料で初期費用は0円、分割払いや後払いに応じてくれる弁護士・司法書士も増えています。
まずは無料相談で、本当に特定調停が自分に適切な手続きなのかどうかを判断してもらいましょう。
特定調停の成功率は14%
まず、結論から言うと特定調停の成功率は14%です。
裁判所が公表している資料によると、特定調停の申立て件数「2,423件」に対して、成立件数は「349件」となっています。
上記の数値で計算すると成功率は14%で、特定調停を申し立てた人のほとんどが失敗しているようです。
特定調停は、債権者と債務者がお互いに納得できる条件でなければ不成立となります。
任意整理であれば弁護士・司法書士が債務者の代わりとなって交渉してくれますが、特定調停では債務者本人が交渉することになります。
債務者に有利な条件で納得してもらうためには、法律に関する知識や交渉術が欠かせません。
特定調停に失敗すると借金はどうなる?
特定調停の申し立てをしても債権者との交渉で同意を得られなければ、不成立として手続きが終わります。
もちろん、借金が減額されることも支払い期間が調整されることもありません。
また、特定調停の申し立てにより止まっていた返済や取立ても、すぐに再開します。今までとまったく同じ借入状況で返済が再開するため、毎月の返済額や金利に変更はありません。
そもそも特定調停は成功率が低いため、再度申し立てをしても成功する可能性は低いままです。
特定調停よりも任意整理が選ばれる理由
特定調停の申し立てをしている人は年々減少しており、最近では年間に2,400件程度しか行われていません。
一方で任意整理は年間で200万件程度、行われていると言われています。
任意整理は裁判所を通さない手続きなので正確な件数はわかりませんが、特定調停よりも人気があることは間違いないでしょう。
多くの人が特定調停よりも任意整理を選んでいる理由は、以下の4つです。
【特定調停よりも任意整理が選ばれる理由】
- 成功率が低い
- 特定調停と同時に過払い請求はできない
- 調停委員の能力に結果が左右される
- 債務者本人に交渉術が求められる
それぞれ詳しく解説していきます。
成功率が低い
まず、大きな理由として成功率が低いことが挙げられます。いくら特定調停をしても不成立となれば、まったく意味がありません。
費用は債権者1社につき1,000円程度なので安いですが、手続きに費やした時間や労力は無駄になるでしょう。そのため、多くの人が任意整理を選んでいるのです。
特定調停と同時に過払い請求はできない
特定調停を行うと、引き直し計算をします。
引き直し計算とは、利息制限法に基づいてこれまでの取引を計算し直して、本来払う必要のなかった金額を正確に計算すること。
現在の利息制限法の上限金利で計算するため、過払い金が発覚する可能性もあります。
しかし、特定調停と同時に過払い金請求をすることはできません。そのため、特定調停とは別に過払い金請求を弁護士・司法書士に依頼することになります。
任意整理であれば、過払い金請求と並行して手続きを進められるのです。
過払い金が見つかる可能性がある人は、はじめから任意整理を選んだほうがいいでしょう。
調停委員の能力に結果が左右される
特定調停では、債務者と債権者が直接交渉するのではなく、調停委員を介して話し合いを進めていきます。
調停委員が間に入ってくれることにより、法律の知識がない人でも債権者と対等の立場で交渉ができるのです。
ただし、裁判所が任命した調停委員が、必ずしも債務整理に詳しいとは限りません。
調停委員に任命されるのは弁護士資格を持った人だけですが、弁護士にはそれぞれ得意分野があり、借金問題が苦手な人もいます。
任意整理であれば自分で借金問題に強い弁護士・司法書士を選べるため、不確定要素はありません。
債務者本人に交渉術が求められる
特定調停のメリットは費用の安さですが、代わりにすべての手続きを自分で行います。
しかし、法律に関する知識や交渉術を持っていなければ、自分にとって有利な内容は引き出せないでしょう。
任意整理を専門的に取り扱っている弁護士・司法書士であれば、債権者との交渉には慣れているため安心して任せられます。
特定調停より任意整理が向いているのはどんな人?
債務整理にはそれぞれにメリットとデメリットがあるため、自分の状況を正確に把握した上で判断する必要があります。
特定調停よりも任意整理が向いているのは、以下のような人です。
【特定調停よりも任意整理が向いている人】
- 平日に裁判所に行けない人
- 過払い金が発生している可能性が高い人
- 専門家にサポートしてほしい人
それぞれ詳しく解説していきます。
平日に裁判所に行けない人
特定調停では、債権者1社につき最低でも2回は裁判所に出頭しなければいけません。
出頭期日は原則として平日のみなので、土日休みの仕事についている人には大きな負担になるでしょう。
任意整理では、ほとんどの業務を弁護士・司法書士が代行してくれます。
仕事を続けながら手続きがしやすいのは任意整理でしょう。
過払い金が発生している可能性が高い人
過払い金が発生している可能性がある人は任意整理を選択しましょう。
なぜなら、特定調停と過払い請求は同時に行うことができないため、もし過払い金が見つかっても別で手続きをしなければいけないのです。
しかし、任意整理であれば過払い金請求と同時に手続きを進められます。
任意整理を依頼している弁護士・司法書士が、並行して2つの手続きに対応してくれるため、依頼者は待っているだけで終わります。
専門家にサポートしてほしい人
特定調停では、調停委員が債権者と債務者の間に入って交渉を進めてくれます。
ただし、調停委員はあくまでも中立の立場で、債務者が有利になるように動いてくれるわけではありません。
任意整理であれば、依頼した弁護士・司法書士が少しでも有利な条件になるように、交渉を進めてくれます。
最後まで専門家にサポートしてほしいと言う人は、任意整理の方が向いているでしょう。
特定調停の成功率に関するよくある質問
最後に、特定調停の成功率に関するよくある質問に回答していきます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
特定調停の成功率は?
裁判所が公表している資料によると、特定調停の申立て件数「2,423件」に対して、成立件数は「349件」となっています。
上記の数値で計算すると成功率は14%で、特定調停を申し立てた人のほとんどが失敗しているようです。
特定調停の成功率が低いのは「債務整理に詳しくない調停委員がいる」「特定調停にメリットを感じない債権者が多い」などの原因が考えられます。
特定調停の費用はいくら?
特定調停の費用は「申立手数料」と「切手代」だけなので、債権者1社につき1,000円程度で済みます。
他の債務整理は数十万円かかるのが一般的で、借入額が高額の場合は100万円以上かかる場合もあります。
「とにかく費用を抑えて債務整理がしたい」と考えている人には、ぴったりの手続きでしょう。
特定調停のデメリットは?
特定調停のデメリットは、以下のようなものが挙げられます。
【特定調停のデメリット】
- 裁判所への出頭が平日のみ
- 書類作成に手間がかかる
- 返済・取立てはすぐに停止しない
- 成功率が低い
- ブラックリストに登録される
- 過払い金請求を同時に行えない
もちろん、デメリットだけでなく、以下のようなメリットもあります。
【特定調停のメリット】
- 自分で手続きができる
- 費用が安い
- 債権者と直接交渉しない
- 裁判所が返済・取立てを停止してくれる
- 職業や資格の制限がない
- 借入理由を問われない
- 財産を手元に残せる
ただし、デメリットに対してメリットが小さいと感じる人がほとんどで、最近では特定調停をする人が減少傾向にあります。
特定調停は弁護士・司法書士に依頼できる?
特定調停を弁護士・司法書士に依頼するのは可能です。
弁護士・司法書士に特定調停を依頼すると、書類作成の代行や手続きをスムーズに進めるためのアドバイスをもらえるでしょう。
ただし、弁護士・司法書士に依頼すると、債権者1社につき4万円程度の費用がかかります。
特定調停で借金の減額や免除には期待できないため、むしろ返済額が増えてしまう可能性が高いです。
自分で特定調停の手続きを進める自信のない人は、弁護士・司法書士に任意整理を依頼したほうがいいでしょう。
特定調停の成功率まとめ
【特定調停の成功率まとめ】
- 特定調停の成功率は14%
- 特定調停の申し立て件数は毎年減少している
- 特定調停の申し立て件数は年間2,400件程度
- 任意整理の申し立て件数は年間で200万件程度
- 特定調停は成功率が低いため、ほとんどの人が任意整理を選択している
この記事では、特定調停の成功率や低い理由、任意整理との違いについて詳しく解説しました。
特定調停の成功率は14%と、決して高くはありません。むしろほとんどの人が失敗しているのが実情で、あまりおすすめはできません。
特定調停で毎月の返済額を減らしたい人は、任意整理を検討してください。
任意整理なら支払い期間の調整だけでなく、将来分の利息も免除されるため、特定調停よりも経済的な負担は軽くなります。
どの債務整理が自分に最適なのかわからない人は、弁護士・司法書士に相談してみましょう。