上記のように悩んでいませんか?
たしかに、特定調停は年間で2,400件程度しか行われていないため、具体的な進め方を知っている人は少ないでしょう。
この記事では、特定調停の流れや利用条件について解説していきます。
特定調停を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
【特定調停の流れ】
- 簡易裁判所で特定調停の相談
- 特定調停の申立書の作成
- 特定調停の申し立て
- 裁判所から債権者へ特定調停開始の通知
- 1回目の調停期日
- 2回目の調停期日
- 調停成立・調停調書の作成
特定調停とは?
特定調停とは、債権者と債務者が話し合って、支払い方法を調整する手続きのことです。
任意整理と非常によく似ていますが、最大の違いは「裁判所の介入があるかどうか」です。
ただし、通常の裁判のように勝ち負けを決めるわけではなく、あくまでも「話し合いをするための手続き」です。
特定調停は簡易裁判所に申し立てを行い、2名の調停委員の元で話し合いを進めていきます。
その後、特定調停に成功すると、原則として3年間の返済計画が立てられます。
つまり、支払い期間の延長が認められるので、「毎月の返済額が下がる」というのが特定調停のメリットです。
また、「将来分の利息カット」「残っている借金を3〜5年で返済」で和解、というのが任意整理の主な和解案で、特定調停ならではのメリットというわけではありません。
そのため、成功率の高い任意整理を選択する人が多く、特定調停を選択する人は減少傾向にあります。
そもそも「特定調停をしたい」と考えている人は「弁護士・司法書士費用が払えない・払いたくない」と考えているケースがほとんどです。
しかし、最近は相談料・着手金が無料で初期費用は0円、分割払いや後払いに応じてくれる弁護士・司法書士も増えています。
まずは無料相談で、本当に特定調停が自分に適切な手続きなのかどうかを判断してもらいましょう。
特定調停の利用条件
次に、特定調停の利用条件を解説していきます。
【特定調停の利用条件】
- 残っている借金を3〜5年で返済できる人
- 安定した収入がある人
- すべての手続きを自分で行える人
それぞれ詳しく見ていきましょう。
残っている借金を3〜5年で返済できる人
特定調停が成立すると、残っている借金は原則として3年間で返済することになります。
借入額が高額の場合は5年間まで支払い期間の延長が認められますが、5年以上の支払い計画が立てられることはありません。
つまり、特定調停は「3〜5年で残っている借金を完済できる人」が対象となっています。
安定した収入がある人
特定調停を行っても、借金そのものが減額・免除されるわけではありません。
たとえ特定調停に成功しても残っている借金は、自分で返済することになります。
そのため、特定調停を行うには、残っている借金を自力で返済できる安定した収入が必要です。
特定調停をするなら、1回目の出頭期日までに安定した職業に就いておきましょう
すべての手続きを自分で行える人
「すべての手続きを自分で行える人」というのは、特定調停の制度で定められているわけではありませんが、非常に重要なポイントです。
特定調停は弁護士・司法書士に依頼していないことを前提にしているため、裁判所もある程度は債務者をサポートしてくれます。
しかし、手取り足取り教えてくれるわけではありませんし、わからないことは自分で調べて手続きを進めなければいけません。
また、裁判所への出頭期日は基本的に平日のみです。
指定された日にいつでも裁判所に行ける人でなければ、特定調停は難しいでしょう。
特定調停をした場合の解決までの流れ
次に、特定調停をした場合の解決までの流れを解説していきます。
【特定調停の流れ】
- 簡易裁判所で特定調停の相談
- 特定調停の申立書の作成
- 特定調停の申し立て
- 裁判所から債権者へ特定調停開始の通知
- 1回目の調停期日
- 2回目の調停期日
- 調停成立・調停調書の作成
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.簡易裁判所で特定調停の相談
特定調停を検討しているなら、まずは簡易裁判所で手続きについて相談しておきましょう。
申し立てに必要な書類や費用など、調べてもわらなかった点をあらかじめまとめておくとスムーズに話が進みます。
2.特定調停の申立書の作成
特定調停を申し立てるには、裁判所に「申立書」を提出します。
用紙は裁判所の窓口に用意されており、不明な箇所は書記官がサポートしてくれるでしょう。
借入状況がわかる契約書や収入を証明するための給与明細、住民票の写しなども合わせて提出します。
また、特定調停を申し立てる裁判所は「債権者の所在地を管轄する簡易裁判所」と指定されています。
3.特定調停の申し立て
書類を提出して裁判所に特定調停の申し立てをします。
また、書類提出時に申立手数料や切手代も支払いましょう。
特定調停の費用は、債権者1社につき1,000円程度です。費用が不安な人は、あらかじめ相談しておきましょう。
4.裁判所から債権者へ特定調停開始の通知
裁判所に書類を提出すると、特定調停の開始を伝える書類が債権者に通知されます。また、特定調停開始の通知とともに、取引履歴も請求してくれます。
特定調停の開始連絡を受けた債権者は、手続きが終わるまで返済や取立てを停止しなければなりません。
5.1回目の調停期日
特定調停では最低でも2回の調停期日が設けられます。
1回目の調停期日は、裁判所からの特定調停開始通知の約1ヶ月後に設定されるのが一般的なケースです。
1回目の調停期日では、債権者のみ呼び出されるのが一般的です。裁判所が任命した調停委員と今後の返済計画について話し合いをします。
申し立ての際に提出した書類をもとに調停委員から質問されますが、調停委員は債務整理の専門家ではありません。
弁護士資格は持っていますが、弁護士はそれぞれに得意分野があるため、必ずしも調停委員が特定調停に詳しいとは限らないのです。
そのため、本当に払っていける範囲の返済計画になっているかどうかを、自分で見極める必要があります。
6.2回目の調停期日
2回目の調停期日では、債権者も含めて話し合いが行われます。
ただし、話し合いといっても直接債権者と債務者が顔を合わせないように、別室で待機させてもらえます。
それぞれ違う部屋に案内されて意見をすり合わせていくため、債務者が話をするのは調停委員に任命された弁護士だけです。
そもそも、ほとんどの債権者は裁判所には来ません。債務者は裁判所で実際に話をして、調停委員が電話でその内容を債権者に伝えるのが一般的です。
2回目でお互いに納得できれば特定調停は終わりですが、折り合いがつかない場合は、3回目・4回目と続くことになります。
7.調停成立・調停調書の作成
2回目以降の調停で話し合いがまとまると、調停内容が記された調停調書が作成されます。
手続き終了後は、調停証書の内容通りに返済していきましょう。
調停証書には債務者の財産を差し押さえる法的な効力があります。特定調停後に返済できなくなると、債権者は強制執行による債権回収が可能です。
特定調停の流れに関するよくある質問
最後に、特定調停の流れに関するよくある質問に回答していきます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
特定調停の手続きにはどのくらいの期間がかかる?
特定調停の申し立てから解決までの期間は3〜4ヶ月程度が一般的です。
ただし、債権者が多い場合は裁判所へ出頭する回数も増えるため、手続きの期間も長期化します。
また、特定調停の手続き中に不成立と判断された場合は、1〜2ヶ月程度で終わるでしょう。
特定調停はどこの裁判所に行けばいいの?
特定調停を申し立てる裁判所は「債権者の所在地を管轄する簡易裁判所」と指定されています。
また、複数の債権者に申し立てる場合は、いずれかの「債権者の所在地を管轄する簡易裁判所」で、まとめて処理してもらえます。
債権者ごとに違う裁判所に申し立てる必要はありません。
特定調停をするにはどうすればいい?
特定調停をするには、まず「債権者の所在地を管轄する簡易裁判所」で申し立てに必要な書類をもらいましょう。
書類の記入方法や手続きの進め方については、裁判所の窓口で教えてもらえます。
特定調停の費用は?
特定調停の費用は「申立手数料」と「切手代」だけなので、債権者1社につき1,000円程度で済みます。
他の債務整理は数十万円かかるのが一般的で、借入額が高額の場合は100万円以上かかる場合もあります。
「とにかく費用を抑えて債務整理がしたい」と考えている人には、ぴったりの手続きでしょう。
ただし、費用が安い代わりに特定調停はメリットが小さいので、特定調停に成功したとしても生活はそこまで楽になりません。
特定調停の流れまとめ
【特定調停の流れ】
- 簡易裁判所で特定調停の相談
- 特定調停の申立書の作成
- 特定調停の申し立て
- 裁判所から債権者へ特定調停開始の通知
- 1回目の調停期日
- 2回目の調停期日
- 調停成立・調停調書の作成
この記事では、特定調停の流れや利用条件について解説しました。
特定調停は費用が安い代わりに、すべての手続きを自分で行う必要があります。
そのため、仕事が忙しい人や書類作成が苦手な人には、あまり向いていません。
債務整理の手間を最小限に抑えたい人は、特定調停ではなく任意整理がおすすめです。まずは弁護士・司法書士に無料で相談しましょう。