上記のように悩んでいませんか?
借金の負担を減らせる任意整理ですが、デメリットを知っておかないと後悔してしまう可能性があります。
この記事では、任意整理の基本的な知識とメリット・デメリットについて解説していきます。
毎月の返済に困っている人は、ぜひ参考にしてください。
任意整理のメリット | 任意整理のデメリット |
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任意整理とは?
任意整理とは、債権者と今後の返済スケジュールについて交渉して、無理のない範囲で完済を目指す債務整理の一種です。
昔は金利をすべてカットしてくれる業者もいましたが、現在は「将来分の利息カット」と「支払い期間の調整」が任意整理の一般的な和解案となっています。
任意整理を利用すると、将来分の利息がなくなった上で、支払い期間が延長されるため、結果的に毎月の返済額が下がります。
借金の減額や免除には期待できませんが、自己破産や個人再生のように裁判所を通さないため、比較的手続きの方法は簡単です。
任意整理のメリット8つ
任意整理には、以下のようなメリットがあります。
【任意整理のメリット】
- 利息の免除
- 遅延損害金の免除
- 返済期間の延長
- 過払い金の発見
- 職業に関係なく利用できる
- 財産を手元に残しておける
- 家族や職場にバレる可能性が低い
- 手続きの手間が少ない
それぞれ詳しく解説していきます。
1.利息の免除
任意整理の代表的なメリットは、利息の免除です。
債権者との交渉に成功すれば、借金を完済するまでの利息が免除されます。
また、可能性は低いですが、すでに発生した利息が免除されるケースもあります。
利息が免除され、最終的な返済額を大きく下げられることが、任意整理の主なメリットです。
2.遅延損害金の免除
任意整理では、遅延損害金の免除にも期待できます。
遅延損害金とは、返済日までに支払えなかった場合に発生するペナルティのこと。返済日の翌日から発生し続けるため、放置しておくと完済までに支払う金額も増え続けます。
借金に困っている人の中には、返済が滞って遅延損害金が高額になってしまい、さらに返済が難しい状況になっている人もいるでしょう。
任意整理は交渉次第で、遅延損害金を免除・減額できる可能性があります。
3.返済期間の延長
任意整理を行うことで、返済期間の延長に期待できます。
任意整理の交渉が成功すれば、3〜5年かけて残っている借金を返済していくのが一般的です。
先ほど解説した通り利息もなくなっているため、今までよりも余裕を持って借金を返していけます。
また、任意整理後は、依頼した弁護士・司法書士を通して債権者に振り込むことも可能です。
振込先が債権者ではなく、弁護士・司法書士になることで、以下のようなメリットがあります。
任意整理を行うことで、経済的なメリットだけでなく、精神的な負担も軽くなるでしょう。
4.過払い金の発見
任意整理を弁護士・司法書士に依頼すると、交渉の前に「引き直し計算」を行います。
引き直し計算とは、取り引きを始めた日から現在までの利息を法定金利内で計算し直すこと。「元本充当計算」「利息計算」と呼ばれることもあります。
引き直し計算をすることで、払い過ぎた利息が見つかった場合、過払い金として債権者に返還を請求できます。
借金以上の過払い金が見つかると、手元にお金が返ってくる可能性もあるでしょう。
5.職業に関係なく利用できる
自己破産は以下のような職業に就いている場合、一時的に資格が使えなくなったり、新たな資格取得ができなくなります。
しかし、任意整理に職業制限はありません。
職業制限を受ける職業に就いている人は、任意整理(もしくは個人再生)を選択するといいでしょう。
6.財産を手元に残しておける
自己破産を選択すると、原則として不動産や車などの資産は債権者に分配されます。
そのため、自己破産を行うと、大きな財産はすべて処分することになるでしょう。
しかし、裁判所を通さない私的な手続きである任意整理では、財産を失うことはありません。
自宅や車などの財産を手元に残して、借金の負担を軽くできるのは任意整理の大きなメリットです。
7.家族や職場にバレる可能性が低い
自己破産や個人再生は、裁判所を通した大掛かりな手続きになります。
裁判所に提出する書類も非常に多く、同一家計の家族に隠し通すのは基本的に不可能です。
しかし、任意整理の手続きは簡単で、家族や職場にバレる可能性は低いでしょう。
8.手続きの手間が少ない
任意整理は債権者と交渉して、利息の免除や支払い期間の調整を行います。
あくまでも私的な交渉なので、法律によって細かくルールが決められているわけではありません。
そのため、手続きの手間も少なく、柔軟に手続きを進められます。
自己破産や個人再生のように裁判所に出向く必要もなく、面倒な書類を用意する必要もありません。
任意整理のデメリット5つ
任意整理には、以下のようなデメリットがあります。
【任意整理のデメリット】
- ブラックリストの登録
- 借金がなくなるわけではない
- 交渉に応じてくれない債権者もいる
- 同じ借入先から借金ができなくなる
- 交渉に失敗する可能性もある
それぞれ詳しく解説していきます。
1.ブラックリストの登録
任意整理を行うと、ブラックリストに登録されます。
すべての債務整理に共通するデメリットで、ブラックリストに登録されると新たな借入やクレジットカードの作成・利用ができなくなります。
ブラックリストの解除されるタイミングや生活への影響は、以下の記事で詳しく解説しています。
2.借金がなくなるわけではない
任意整理で借金の元本が減額されることは、基本的にありません。
任意整理の交渉は、あくまでも利息の免除や支払い期間の延長を和解案として提案します。
そのため、自己破産のように借金がなくなるわけではありません。
毎月の負担は軽くなりますが、借金の支払いは今まで通り続きます。
3.交渉に応じてくれない債権者もいる
債権者の中には、任意整理の交渉に応じてくれない業者もいます。
取り引きから1年以内の借金は、任意整理の交渉に応じてくれないケースがほとんどです。
また、1度も返済していない借入先や、過去に同じ債権者で任意整理をしている場合は、完済の意志がないと判断されるため交渉も失敗しやすくなります。
4.同じ借入先から借金ができなくなる
任意整理は債権者との契約を破ったことになるため、債権者からの信用を大きく失います。
任意整理によるブラックリストは5年程度で解除されますが、債権者が独自に作っているデータベースには半永久的に記録が残ります。
5.交渉に失敗する可能性もある
ほとんどの債権者が任意整理の交渉に応じてくれますが、確実に交渉が成功するわけではありません。
以下のようなケースでは、特に失敗する可能性が高いです。
任意整理を個人で行った場合
弁護士・司法書士などの専門家に依頼しなくても、任意整理の手続きは可能です。
ただし、個人での任意整理の交渉には応じない、と社内ルールで決めている業者もいます。
任意整理を行うのであれば、専門家へ依頼するようにしましょう。
1度も返済していない場合
1度も返済していない場合や、取引期間が1年未満の場合は、任意整理に応じてくれない可能性が高いです。
任意整理は手続きが終わると返済が再スタートします。
そのため、返済実績が極端に少ないと「任意整理後も返済してくれないのでは?」と疑いを持たれます。
過去に同じ借入先で任意整理を行っている場合
過去に同じ借入先で任意整理を行っている場合は、任意整理に応じてもらえないでしょう。
「任意整理をしても、また返済できなくなるのでは?」と疑われてしまうため、交渉は失敗する可能性が高いです。
任意整理はしないほうがいい?生活への影響を解説
任意整理は自己破産や個人再生と比べて、生活への影響が少ない債務整理です。
しかし、任意整理を行うと、以下のような影響があります。
【任意整理による生活への影響】
- クレジットカードの新規発行・利用ができなくなる
- ローンやキャッシングなどの新たな借入ができなくなる
- 連帯保証人・保証人になれない
- スマホの分割払いができなくなる
それぞれ詳しく解説していきます。
クレジットカードの新規発行・利用ができなくなる
クレジットカードの支払いを任意整理すると、そのカードはすぐに解約されて使えなくなります。
任意整理の対象外となっているクレジットカードも更新のタイミングで審査が行われるため、いつか利用できなくなるでしょう。
クレジットカードの新規発行を申し込んでもブラックリストを必ず確認されるため、審査に通ることはありません。
ローンやキャッシングなどの新たな借入ができなくなる
任意整理によりブラックリストに登録されている期間は、ローンやキャッシングなどの新たな借入ができなくなります。
ブラックリストに登録されている人は「返済能力がない」と判断されるため、審査に通らない可能性が高いからです。
ただし、ブラックリストは5年程度で解除されるため、その後はローン審査に通る可能性があります。
連帯保証人・保証人になれない
任意整理を行うと、連帯保証人・保証人になるのが非常に難しくなります。
連帯保証人・保証人になる際にもブラックリストを確認されるため、任意整理から5年程度は審査に通ることはありません。
ただし、任意整理の影響を受けるのは本人だけなので、子どもの奨学金等であれば片側の親を連帯保証人として申し込むことで利用できます。
スマホの分割払いができなくなる
スマホの分割払いもローンやキャッシングと同様に、ブラックリストを確認する審査が行われます。
そのため、任意整理をしてブラックリストに登録されている期間は、スマホの分割払いも利用できない可能性が高いです。
ただし、スマホの利用料金を延滞・滞納していない人であれば、10万円以下のモデルなら審査に通ることもあるようです。
スマホ代や利用料金を任意整理した場合でなければ、現在使っているスマホはこれまで通り利用できます。
任意整理を利用するための条件2つ
任意整理を利用するためには、以下2つの条件をクリアしておく必要があります。
【任意整理を利用するための条件】
- 継続的に返済できる安定した収入
- 実現可能な返済スケジュールの提示
それぞれ詳しく解説していきます。
継続的に返済できる安定した収入
任意整理に年収や、雇用条件などの条件はありません。
ただし、任意整理後は返済が再スタートするため、継続的に返済できるだけの安定した収入が求められます。
そのため、債権者から合意の条件として、勤務先や家計状況がわかる書類の提出を求められることもあるでしょう。
「手取り収入から家賃を引いた金額の3分の1」を超えているかどうかが、安定して返済できる目安とされています。
上記の目安を超えている場合は、任意整理の交渉に応じてもらえない可能性が高いです。
実現可能な返済スケジュールの提示
債権者に対して「任意整理に応じた方が返済してくれる」と信用してもらえなければ、任意整理は成功しません。
安定した収入があることや返済意志があることを示すためにも、実現可能な返済スケジュールを債権者に提出しましょう。
任意整理を利用できない4つの条件
任意整理は決して万能ではなく、誰でも利用できるわけではありません。
以下の条件に当てはまる人は、任意整理を利用できない可能性があります。
【任意整理を利用できない条件】
- 借金が3〜5年以内に返済できないほど高額
- 収入が少なすぎる
- 同じ金融機関で任意整理を利用している
- 税金や公共料金は任意整理の対象外
それぞれ詳しく解説していきます。
1.借金が3〜5年以内に返済できないほど高額
任意整理では、利息や遅延損害金が免除されるだけで、借金の元本が減額されるケースはほとんどありません。
そのため、現在の収入では3〜5年以内に完済できない場合、任意整理を行うメリットは小さいでしょう。
借金額が高額で完済までの見込みが立たない人は、自己破産や個人再生の利用を検討してください。
2.収入が少なすぎる
任意整理後に返済していけるだけの収入がなければ、債権者は交渉に応じてくれません。
収入が少なく完済の目処が立たない場合は、自己破産を選択した方がいいでしょう。
3.同じ借入先で任意整理を利用している
1度でも任意整理をすると、対象の借入先は「信用できない債務者」と判断します。
債権者が任意整理に応じてくれるのは「利息を免除して支払い期間を延長すれば返済してくれる」というメリットがあるからです。
任意整理はあくまでも、信頼関係によって成り立つ私的な交渉です。
過去に任意整理を行って信頼を失っている借入先で、もう一度任意整理を成功させるのは難しいでしょう。
4.税金や公共料金は任意整理の対象外
任意整理の対象にできるのは、ローンやキャッシングなどの「借金」だけです。
そのため、税金や保険料などは任意整理の対象にできません。
任意整理の対象にできる例 | 任意整理の対象にできない例 |
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任意整理にかかる費用
任意整理は裁判所を利用しない手続きであるため、手続き自体にかかる費用は紙代・切手代のみです。
任意整理を弁護士に依頼する場合、費用の相場は1社あたり10万円程度となります。弁護士費用の内訳は次のとおりです。
- 着手金
- 解決報酬金
- 減額報酬金
個々の内容によっては、法律相談料や過払い金の報酬金などが発生することもあります。
着手金は、弁護士に任意整理を依頼する際に支払う費用です。着手金の相場は、1社あたり2~5万円ほどとなっています。着手金の支払方法については、後払いで対応してくれる法律事務所もあります。
解決報酬金は、債権者との和解が成立したときに支払う費用です。1社につき2万円以下が相場となっています。解決報酬金は、発生しない法律事務所もあります。
減額報酬金は、解決報酬金と同じく債権者との和解が成立したときに支払う費用です。借金を減額した金額の10%程度が相場となっています。
各費用を合計した相場は10万円ほどとなりますが、借金を減額した金額によっては大きく変動することもあるので、弁護士に依頼する前にはしっかりと確認するようにしてください。
任意整理の流れと解決までの期間
任意整理は債権者と交渉を行い、和解が成立するまでには3〜6ヶ月程度の期間が必要です。
おおまかには、以下のような流れで手続きを進めていきます。
【任意整理の流れ】
- 弁護士・司法書士に任意整理を相談
- 受任通知の送付
- 取引履歴の開示請求
- 利息の引き直し計算
- 借入先との交渉・和解
任意整理は、弁護士や司法書士などの専門家に依頼しなくても交渉は可能です。
ただし、個人での任意整理は成功率が極端に低いため、専門家に依頼する前提で流れを解説していきます。
1.弁護士・司法書士に任意整理を相談
任意整理を正式依頼する前に、弁護士や司法書士に相談しておきましょう。
最近は、無料で相談に乗ってくれる弁護士・司法書士事務所も増えています。
専門家との相性を確認するためにも、まずは相談して話を聞いてもらいましょう。
2.受任通知の送付
任意整理を正式に依頼すると、受任通知を送付してくれます。
弁護士や司法書士が債務書の代理人となって債務整理を行うことを、債権者に知らせる通知のこと。受任通知を受け取った債権者は、取り立てを停止する法的な義務がある。
受任通知が届いたタイミングで、取り立てや督促は完全にストップします。
対応の早い専門家であれば、依頼した当日に取り立てを止めてくれるでしょう。
3.取引履歴の開示請求
正確な借入状況を把握するために、債権者に対して取引履歴の開示請求を行います。
開示までの期間は債権者によって異なりますが、2〜3週間が一般的です。
4.利息の引き直し計算
取引履歴をもとに、利息の引き直し計算を行います。
引き直し計算とは、取り引きを始めた日から現在までの利息を法定金利内で計算し直すこと。「元本充当計算」「利息計算」と呼ばれることもあります。
引き直し計算は、1〜2週間程度で完了します。
5.借入先との交渉・和解
引き直し計算で算出された金額をもとに、専門家が債権者と交渉を行います。
基本的には「将来分の利息カット」「残った借金を3〜5年かけて返済」が任意整理の和解案です。
交渉にかかる時間は1社につき2ヶ月程度で、債権者が多いほど時間がかかります。
和解が成立すれば任意整理の手続きは終了です。
任意整理の手続き中の借金には要注意!
任意整理の手続き中の借金には注意が必要です。
任意整理の手続き中でも審査のゆるい中小金融機関であれば、新たな借入ができる可能性があります。
ただし、任意整理の手続き中の借金には、以下のようなリスクがあります。
それぞれ詳しく解説していきます。
交渉が失敗しやすくなる
任意整理中の新たな借入は、交渉を妨げる要因になります。
生活を再建する意志がないと判断されるため、債権者からの印象が悪くなるためです。
また、借金額の計算や資料を作り直すことになるため、依頼した専門家が辞任する可能性もあります。
依頼した専門家が途中で辞任すると手続きは最初からになり、費用も時間も無駄となるでしょう。
ヤミ金に手を出してしまう可能性がある
債務整理中に借入先が見つからないと「ブラックOK」などの広告を出しているヤミ金に手を出してしまう可能性があります。
ヤミ金に手を出してしまうと、今まで以上に返済状況は悪化するでしょう。
債務整理の手続き中にどうしても生活費に困った場合は、公的機関の制度を利用してください。
任意整理に必要な費用が捻出できない人は、相談無料の専門家に問い合わせてみましょう。
任意整理のメリット・デメリットまとめ
この記事では、任意整理の基本的な知識とメリット・デメリットについて解説しました。
任意整理のメリット | 任意整理のデメリット |
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任意整理は、毎月の返済額を下げることで無理なく完済を目指す手続きです。
自己破産や個人再生のように借金そのものを免除・減額することはできませんが、家族や職場に内緒で手続きが完了します。
また、任意整理は、専門家に依頼しなくても手続きを行える唯一の債務整理です。
ただし、個人での任意整理が成功するケースは極めて稀で、弁護士や司法書士などの専門家に依頼するのが一般的です。
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