過払い金

過払い金の発生条件は2つ!対象となる貸金業者や請求ができないケースを解説

過払い金の発生条件は2つ!対象となる貸金業者や請求ができないケースを解説
「よくCMで聞く過払い金ってなに?」
「過払い金はどうやって請求すればいいの?」

上記のように悩んでいませんか?

過払い金のCMは2010年頃から爆発的に広まって、世間に「過払い金」の存在を広めました。

2015年頃からCMの頻度はやや落ち着いてきましたが、それでもラジオや弁護士事務所の公式サイトなどで「過払い金請求」の文字を見かけることはあるでしょう。

しかし、「過払い金」という言葉は知っていても、発生条件や請求する方法まで詳しく理解している人は少数派です。

この記事では、過払い金の基本的な知識や発生条件、対象となる貸金業者について詳しく解説していきます。

【過払い金の発生条件まとめ】

  • 過払い金発生の条件は2つ
    ⚪︎2010年6月以前に借金の契約をしている
    ⚪︎貸金業者との最後の取引が10年以内
  • 過払い金が請求できないケースもある
    ⚪︎年15〜20%の金利で借金をしていた
    ⚪︎銀行カードローンで借金をしていた
    ⚪︎住宅ローンや自動車ローンで借金をしていた
    ⚪︎クレジットカードのショッピング枠で借金をしていた
    ⚪︎貸金業者が倒産している
  • 裁判を起こせばほぼ100%の割合で過払い金が返還される
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過払い金とは?

過払い金とは?まず「過払い金」とは、法律で定められている上限金利を超えて債権者に支払ったお金のことを指します。

つまり、返済し過ぎたお金のことで、貸金業者に過払い金を返してもらう手続きのことを「過払い金請求」と言います。

過払い金請求は法律で認められている制度で、払い過ぎた借金が返ってくるという明確なメリットがあります。

そもそも過払い金が発生した理由は、2010年まで上限金利に関する法律がしっかりと整備されていなかったからです。

以前から「利息制限法」では上限金利を年15〜20%としていましたが、「出資法」の上限は年29.2%となっていました。

当然、出資法の上限(年29.2%)に準じて営業した方が貸金業者は儲かるため、ほとんどの業者は金利を年20〜29.2%の範囲で設定していたのです。

しかし、現在では考えられないような高金利による借金で、多くの債務者が自己破産を迫られるようになり、「グレーゾーン金利」として社会問題になりました。

最高裁が利息制限法を超える金利を払っている場合は、「返還請求が可能」という判決を下し、現在のように過払い金請求が可能になったのです。

現在は出資法も改正されて、上限は年20%になっています。つまり、年20%以上の借金はどんなケースであっても違法です。

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過払い金の発生条件は2つ

過払い金の発生条件は2つ次に、過払い金の発生条件について解説していきます。

過払い金が発生する条件は、以下の2つです。

【過払い金が発生する条件】

  • 2010年6月以前に借金の契約をしている
  • 貸金業者との最後の取引が10年以内

両方の条件を満たしていなければ過払い金は発生しておらず、請求することはできません。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

2010年6月以前に借金の契約をしている

出資法が改正された2010年6月以降に借金をしている場合は、過払い金は発生していないでしょう。

出資法の違反は営業停止処分や業務登録取消など、非常に厳しく処分されるため、まともな貸金業者であれば法定金利内で契約しているはずです。

しかし、2010年以前は金利に関する法整備が追いついておらず、「グレーゾーン金利」と呼ばれる年20%以上の金利で契約している可能性があります。

銀行信用金庫・奨学金・各種ローンなどは、2010年6月以前から年20%以下の金利だったので、過払い金は発生していません。

貸金業者との最後の取引が10年以内

過払い金は、最後の取引から10年が経過すると時効が成立します。

つまり、完済してから10年経っている人は過払い金請求ができません

「最後の取引から10年」という点が時効成立のポイントなので、いくら古い借金でも完済していなければ過払い金請求はできます。

むしろ古い借金の方が金利が高く設定されていた可能性が高いため、かなり高額の過払い金に期待できるでしょう。

過払い金は、たとえ30年前の契約でも時効が成立していなけば返還請求が可能です。

「古い契約だから」と自分で判断せずに、まずは専門家に過払い金を調査してもらいましょう。

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過払い金請求ができない5つのケース

過払い金請求ができない5つのケース当たり前ですが、すべての借金に過払い金が発生しているわけではありません。

以下のケースに1つでも該当している場合は、過払い金は発生していません。

【過払い金請求ができないケース】

  • 年15〜20%の金利で借金をしていた
  • 銀行カードローンで借金をしていた
  • 住宅ローンや自動車ローンで借金をしていた
  • クレジットカードのショッピング枠で借金をしていた
  • 貸金業者が倒産している

それぞれ詳しく解説していきます。

年15〜20%の金利で借金をしていた

そもそも過払い金とは、利息制限法を超えて支払った金利のことです。

つまり、利息制限法の上限である年15〜20%の金利であれば過払い金は発生していません。

利息制限法の上限金利
借入額が10万円以下年20%
借入額が10万〜100万円年18%
借入額が100万円以上年15%

ただし、金利の計算は非常に複雑なので、自分で計算して過払い金の有無を判断するのはおすすめできません。

2010年6月以前に借金をしていた人は、弁護士・司法書士に相談して正確に調査してもらいましょう

銀行カードローンで借金をしていた

銀行カードローンで借金をしていた場合は、過払い金は発生していません。

なぜなら、銀行カードローンは利息制限法に則って貸し付けを行っているからです。

利息制限法を遵守している借金に過払い金は発生しないため、返還請求はできません。

住宅ローンや自動車ローンで借金をしていた

住宅ローンや自動車ローンで借金をしていた場合は、過払い金は発生していません。

理由は銀行カードローンと同様に、以前から利息制限法で定められた上限以下の金利で貸し付けを行っているためです。

住宅ローンや自動車ローンは、出資法が改正される前から1〜5%程度の超低金利に設定していました。

そのため、2010年6月以前の借金であっても、住宅ローンや自動車ローンで過払い金が発生していることはありません。

クレジットカードのショッピング枠で借金をしていた

クレジットカードのショッピング枠で借金をしていた場合は、過払い金請求ができません。

あまり知られていませんが、クレジットカードのショッピング枠は厳密にいうと借金ではありません

あくまでも、クレジットカード会社に購入した商品を立て替えてもらっているだけなのです。

クレジットカードのショッピング枠が「借金ではない」ということは、もちろん利息は発生しません。

毎月払っているお金は「利息」ではなく「手数料」です。

過払い金請求は、払い過ぎた「利息」を返還してもらう手続きなので、クレジットカードのショッピング枠は過払い金の対象外となっています。

貸金業者が倒産している

2010年6月以前から借金をしており、過払い金が発生していたとしても貸金業者が倒産している場合、過払い金請求はできません。

いくら裁判所に過払い金を認めてもらっても、返還を命じる会社がいなければ意味がありません。

ただし倒産した貸金業者が、他の貸金業者に吸収合併されている場合は、過払い金の請求が可能です。

「どこから借金をしていたのか忘れてしまった」「貸金業者が見つからない」こんな場合でも、弁護士・司法書士に相談すれば調査してくれます。

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過払い金請求の対象となる貸金業者一覧

過払い金請求の対象となる貸金業者一覧過払い金の対象となるのは、「消費者金融からの借金」もしくは「クレジットカードのキャッシング」で、金利が年15〜20%以上の場合のみです。

つまり、出資法が改正される前から利息制限法を遵守している貸金業者であれば、過払い金は発生していません。

たとえば、銀行や奨学金、住宅・自動車ローンなどは、もともと低金利なので過払い金請求とは無関係と言えるでしょう。

では次に、過払い金請求の対象となる代表的な貸金業者を紹介していきます。

過去に1度でも利用している場合は、過払い金が発生している可能性があります。

過払い金請求が可能な消費者金融

グレーゾーン金利の原因となった出資法が改正されたのは2010年6月なので、それよりも前に借金をしていた人は払い過ぎた利息が返ってくるかもしれません。

しかし、過払い金請求が最高裁で認められたのは2006年1月なので、多くの貸金業者は2007年頃から金利を利息制限法の範囲内に変更しています。

アコムプロミスアイフル
1987年36.5%1984年39.5%1984年54.75%
1989年29.2%1988年32.0%1988年36.427%
1997年27.375%1995年25.55%2000年28.835%
2007年18.0%2007年17.8%2007年18.0%

過払い金請求が可能なクレジットカード会社

2006年よりも前にクレジットカードのキャッシングを利用していた人は、過払い金が発生している可能性が高いです。

過払い金請求の対象となる代表的なクレジットカード会社は、以下の6社です。

【過払い金請求の対象となる代表的なクレジットカード会社】

  • エポスカード(旧丸井・マルイ)
  • イオンカード
  • オリコ
  • セディナ
  • セゾンカード
  • アプラスカード

ただし、クレジットカードのショッピング枠は借金ではないため、過払い金請求の対象にはなりません。

エポスカード(旧丸井・マルイ)

エポスカードの金利は2007年まで年27.0%だったので、当時のキャッシングを利用していた人は過払い金が発生している可能性が高いです。

イオンカード

イオンカードの金利は、2007年3まで年25.6%でした。

イオンカードだけでなく、ジャスコカードやトイザらスカードも同様の金利で、すべて「イオンクレジットサービス株式会社」に過払い金請求が可能です。

オリコ

オリコは、2007年3月まで金利を年27.6%にしていました。

オリコカード以外にも、アメニティカードやUPtyカードなども過払い金請求の対象となります。

セディナ

2007年よりも前にセディナのキャッシングを利用していた人は、過払い金が発生している可能性が高いです。

セディナでもっとも人気のあった「OMCカード」の金利は、2007年まで28.0%でした。

セゾンカード

セゾンカードのキャッシングは2007年まで年26%前後の契約が多く、過払い金の対象になっています。

2007年以降は利息改訂を行っているため、過払い金は発生していないでしょう。

アプラスカード

アプラスカードの金利は2007年まで年21.0〜29.0%だったので、当時利用していた人はほぼ間違いなく過払い金が発生しています。

すでに倒産している貸金業者に過払い金請求はできない

いくら過払い金が発生していても、すでに貸金業社が倒産している場合は、過払金の請求はできません

「大手金融会社が潰れることはないでしょ」と思っているかもしれませんが、業界最大手だった「武富士」は2010年、横浜を中心に30年以上も活動していた「栄光」は2016年に倒産しています。

テレビCMをしているような大手企業でも最近は世界的な不況が続いているため、急に倒産することも考えられます。

合併や吸収された場合は吸収先の会社に過払い金請求ができますが、武富士や栄光のように倒産していると、過払い金は1円も返還されません

過払い金で悩んでいる人は、早めに相談しておきましょう。

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過払い金請求の流れ

過払い金請求の流れ次に、過払い金請求を行ってから、お金が返還されるまでの流れを解説していきます。

【過払い金請求の流れ】

  • 取引履歴を貸金業者に請求
  • 過払い金の引き直し計算
  • 貸金業者に過払い金返還請求書を送付
  • 貸金業者との交渉
  • 過払い金請求の裁判開始(交渉で和解できなかった場合のみ)
  • 過払い金の返還

ステップごとに詳しく解説していきます。

1.取引履歴を貸金業者に請求

まずは、貸金業者に対して、取引履歴を請求します。

取引履歴とは?

貸金業者から「いくら・いつ借りたのか」「いくら・いつ返済したのか」を正確にまとめた資料のこと。

取引履歴の開示請求は、店舗窓口や公式サイトなどから行えます。

このときに注意したいのが、「開示請求の理由」です。貸金業者に取引履歴の開示請求を求めると、必ず理由を聞かれます。

正直に「過払い金請求のためです」と答えてしまうと、手続き前にトラブルに発展したり、不利な条件で和解を迫られるケースがあります。

開示請求の理由を聞かれたら「取引履歴の確認のため」とだけ伝えましょう

2.過払い金の引き直し計算

請求した取引履歴をもとに、過払い金の引き直し計算を行います。

引き直し計算とは

利息制限法に基づいてこれまでの取引を計算し直して、本来払う必要のなかった金額を正確に計算することです。

引き直し計算は非常に複雑で、専門的な知識が必要です。

最近では専用の計算ツールなどもありますが、間違えていると返還される金額が下がってしまうケースも珍しくありません。

過払いの調査も含めて、弁護士・司法書士に依頼することをおすすめします。

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3.貸金業者に過払い金返還請求書を送付

過払い金の正確な金額を計算したら、貸金業者に「引き直し計算書」と「過払い金返還請求書」を送付します。

送付する際は「いつ・誰が・誰に」送ったのかが証明できるように、内容証明郵便を必ず利用してください。

4.貸金業者との交渉

過払い金返還請求書を送付すると、貸金業者から連絡がきて交渉が始まります。

このときの交渉を「任意交渉」と言います。任意交渉は裁判所を通さない私的な交渉なので、法的なルールは適用されません。

そのため、基本的に貸金業者は、発生している過払い金の6〜7割程度の金額で交渉してきます。

回収できる金額は下がりますが「裁判をしなくてもいい」ということは時間も手間も省けるため、お互いにメリットがあるのです。

任意交渉でお互いに納得できれば和解が成立して、納得できなければ裁判に発展します。

5.過払い金請求の裁判開始(交渉で和解できなかった場合のみ)

貸金業者と交渉を行って、和解の条件に納得できなければ裁判所に提訴します。

裁判を起こすと手続きは長期化しますが、法律に則って返還される金額が決まるため、ほぼ100%の割合で過払い金を取り戻せます。

ただし、裁判を起こすと専門的な知識や交渉力が必要になるため、弁護士・司法書士への依頼が欠かせません

裁判を前提に過払い金請求をするのであれば、あらかじめ弁護士・司法書士に相談しておいた方がいいでしょう。

6.過払い金の返還

交渉や裁判によって認められた過払い金が、あなたの指定した口座に振り込まれます。

ただし、弁護士・司法書士に依頼している場合は、まず事務所の口座に振り込まれて、報酬を差し引かれてから依頼者の口座に振り込みされます。

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過払い金の発生条件まとめ

過払い金の発生条件まとめ

【過払い金の発生条件まとめ】

  • 過払い金発生の条件は2つ
    ⚪︎2010年6月以前に借金の契約をしている
    ⚪︎貸金業者との最後の取引が10年以内
  • 過払い金が請求できないケースもある
    ⚪︎年15〜20%の金利で借金をしていた
    ⚪︎銀行カードローンで借金をしていた
    ⚪︎住宅ローンや自動車ローンで借金をしていた
    ⚪︎クレジットカードのショッピング枠で借金をしていた
    ⚪︎貸金業者が倒産している
  • 裁判を起こせばほぼ100%の割合で過払い金が返還される

この記事では、過払い金の基本的な知識や発生条件、対象となる貸金業者について詳しく解説しました。

2010年よりも前に借金をしていた人には、誰でも過払い金が発生している可能性があります。

借金を完済していればブラックリストに登録されることもなく、過払い金請求のデメリットはないと言ってもいいでしょう。

ただし、過払い金請求は最後の取引から10年で時効が成立します。

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